MAP04: Eメール                       パトリック・クリスペン                           井上 信  訳   「私は、これまでの生涯で、郵送に値する手紙を1、2通しか    受けとっていない。」 -- Henry David Thoreau 私は歴史上で最も古いEメールプログラムを使用していると思います。私の VM Mailbook プログラムが古代ギリシャ人によって(あるいは私のキャンパ スのリスによって)書かれていたとしても驚かないことでしょう。私のメー ルプログラムにない機能の1つにスペルチェッカーがあり、若干の誤植はま ぬがれません。どうか、このことについてはご容赦願います。:) Eメールプログラムのほとんどが同種の普遍的な機能を持っています。問題 は、これらの機能にアクセスするのにEメールプログラムがみなそれぞれま ったく異なったコマンドを使用しているということです(例えば、現在開い ているメッセージの発信者に返信する場合、 elm あるいは pine のEメー ルプログラムでは "r"という文字をタイプすればよいのです。同様の機能を VM Mailbook プログラムで行おうとすると、PF5 キーを押すことになります)。 私は、これらの機能のすべてを論ずるつもりはありません。しかし、どんな 種類の機能を多くのEメールが共通して持っているのでしょうか。そうです ね、多くのメールプログラムには、受信メールにアクセスしそれを読む機能、 受信メールをファイルに保存する機能、受信メールをプリントする機能、新 規メッセージを送信する機能、メッセージに返信する機能、メッセージにフ ァイルを取りこむ機能、メールの中に特殊なオブジェクトを組みこんだり取 りだしたりする機能があります。使用しているEメールソフトウェアによっ て、これらの機能が容易であったり難しかったりします... しかしほとんど の場合、利用可能です。 Eメールプログラムにこれらの差異があり、また各プログラムを起動させる ためのコマンドに差異あるのであれば、”あなた自身の”Eメールプログラ ムにとってどれが正しいコマンドであるかをどのようにしてみつければよい のでしょうか?それは簡単!あなたの所属するローカルのEメールサービス 提供者にお尋ねください!ショックかもしれませんが、メールサービス提供 者のほとんどは、自ら運用しているEメールプログラムの使用方法を教える ためのなんらかのインストラクション用シートかファイルを持っています。 あなたは、ただそれを下さいと言いさえすればよいのです! 私は、いかにしてインターネットアドレスを実際に読むかということに関し て若干時間をさきたいと思います。私が初めてEメールの使用方法について 学習を始めたとき、インターネットアドレスがどれもみな長いのに脅かされ たことを認めざるをえません。しかし、そのアドレスを”逆方向に”(右か ら左へ)読むことをいったん覚えると、インターネットアドレスは不思議で もなんでもなくなりました。   インターネットアドレスの例(私自身の):PCRISPE1@UA1VM.UA.EDU インターネットアドレスはどれも、3つのパートで構成されます。--ユーザ ーネーム、”アットマーク”(@) 、それにユーザーが所属するメールサー バのアドレスです。上記の例では、私のユーザーネームは PCRISPE1 (笑う のはやめてください-- "p-crispy-one" はなにもおかしくはありません) (訳注1)、そして私のメールサーバのアドレスは UA1VM.UA.EDU です。 メールサーバアドレス(上記の例では UA1VM.UA.EDU の部分)は、実際には ”ドメイン”名と呼ばれており、IP(Internet Protocol )アドレスなるも のに基づいています。 インターネットに接続しているサーバは各々、数字の IP アドレスを持って います。 IP アドレスはピリオドで結ばれた4つの数字のセットになってい ます(例えば、私がアラバマ大学で使用しているメールサーバの IP アドレ スは 130.160.4.100)。 幸いにも、人間は数字よりも”名前”の方が覚えやすいということを当局が 認識し、彼らはドメイン名システムを創案しました。ドメイン名システムと は、数字の IP アドレスをより覚えやすい”名前”に関連づけるものです (例えば、ドメイン名システムによって、130.160.4.100 という IP アドレ スがはるかに覚えやすい UA1VM.UA.EDU に置き換わるわけです)。 あなたが FTP や telnet (数週間後にこれらのツールのお話しをします) の操作をするとき、あなたはときどき IP アドレスに出あうことになるでし ょう。 IP アドレス(ピリオドで結ばれた4つの数字のセット)はドメイン 名を書く別法にすぎないとだけ覚えておけばよろしいでしょう。それで十分 うまくいきます。 IP アドレスとドメイン名は同等に機能するはずです。 それはともかく、 "p-crispy-one" の例に話を戻します。私のドメイン名が UA1VM.UA.EDU であることを覚えていますか?そう、私が前に述べたように、 インターネットアドレス--実際にはドメイン名--を読むもっともよい方法は ”右から左へ”です。ドメイン名は、下記のように細分されています。    EDU Educational sites in the U.S.    COM Commercial sites in the U.S.    GOV U.S. Government sites    NET Network administrative organizations    MIL U.S. Military sites    ORG U.S. Organizations(上記のカテゴリーにあてはまらないもの)    SU Soviet Union (インターネット上では今でも Soviet Union )    FR France    CA Canada    ... (他の国も独自の国名コードをもっている) 私のドメイン名は末尾に EDU が入っているので、UA1VM.UA.EDU が米国内 のどこかの教育サイトのドメイン名であることが分かります。しかし、どこ にあるのでしょう? UA1VM.UA.EDU というドメイン名の残りの部分が”サブドメイン”で、私の メールサーバが実際にどこにあるかを示すものです。 UA はアラバマ大学を 意味し、UA1VM は私のメールサーバマシンの名前です。 したがって、PCRISPE1@UA1VM.UA.EDU は米国のどこかの教育サイトの "p- crispy-one" (笑うのはやめて!!)と名付けられた人のインターネットア ドレスということになります。さらに調べれば、そのサイトはアラバマ大学 の中にあり、"p-crispy-one" が使用しているマシンが UA1VM と呼ばれて いることも分かります。  インターネットアドレスのもう1つの例:w.v.braun@hq.msfc.nasa.gov さあ、これを右から左へ読んでみると、GOV があります。これは、米国政府 のアドレスであることを意味します。NASA がなんであるかはだれでも知っ ているでしょう。--the National Aeronautics andSpace Administration (米航空宇宙局)です。しかし、あなたが NASA の大ファンでもないかぎり、 MSFC が何を表わすのか手がかりはほとんどないでしょう(実際は、アラバ マ州 Huntsville にあるGeorge C. Marshall Space Flight Center)。HQ は自明で、ヘッドコーター(本部)です。 それで、w.v.braun@hq.msfc.nasa.gov が 、Marshall Space Flight Center  の本部にあるメールサーバを利用している w.v.braun という名の人のアド レスであることが分かります。そして、Marshall Space Flight Center が NASA に属し、NASA 自身も米国政府の一部であることも分かります。 ike@saceur.pentagon.army.mil というインターネットアドレスから何が分 かりますか?多くのことが、特にあなたが歴史ファンであるなら、そしてあ なたが "saceur" が Supreme Allied Commander-Europe の軍事略語である ことを知っているならなおさら多くのことが分かるでしょう。 インターネットアドレスに関する最善のルールは次の通りです:もしアドレ スが上記の形式でないならば、そして標準的な最上位ドメインの略語か国名 コードで終わっていなければ、そのアドレスはインターネットアドレスでは ”ない”ということです。とはいっても、インターネットに属さないアドレ スにもゲートウェイを介してメールを送ることができます。 宿 題 今日の宿題は、まったくのオプションです。しかし、あなたの宿題を私に送 りかえしてはいけないことだけは覚えておいてください。:) 最後に、この手紙に(あるいは他の手紙の場合もそうですが)返信を利用し て GET コマンドを書いて送っても作動し*ない*ということを覚えておい てください。あなたは、*新規の*Eメールの本文に GET コマンドを書い て LISTSERV@UA1VM.UA.EDU へ送る*必要*があります。 1) あなたの mailer の下記の2つのコマンドを見つけておいてください。     - Eメールを読まずに削除するコマンド     - Eメールを読んだあとで削除するコマンド   この2つのコマンドが、あなたが使うEメールコマンドのうちで、もっ   とも重要でかつ最も使用頻度が高いものであることをあなたはすぐに見   いだすでしょう。 2) もしあなたが”レベル2”あるいは”レベル3”の接続状況にあり、   UNIX、VAX/VMS 、または VM のシステム上にあるならば、アラバマ大学   の LISTSERV ファイルサーバから3つのファイルを GET してください   (GET コマンドの復習には、先週金曜日の MAP02:「LISTSERV ファイル   サーバコマンド」を参照)。これらのファイルは、Richard Smith 氏の   "Navigating the Internet" ワークショップからのもので、これらを今   回のワークショップで使用することについて Richard から快諾を得て   います。    最初のファイルは、UNIX、VAX/VMS 、ならびに VM のシステムのための   基本的なEメールコマンドをカバーしています。第2のファイルはEメ   ールを送るためのコマンドを、第3のファイルは返信機能をカバーして   います。   GET コマンドを使用するときには、そのコマンドは LISTSERV のアドレ   ス宛に送らねばならないのであって、リストそのもの宛や私宛に送って   はならない、ということを忘れないでください(この私のレターへの返   信は作動し*ない*でしょう)。 UNIX USERS: VAX/VMS USERS: filename filetype filename filetype UNIX 1 VMS 1 UNIX 2 VMS 2 UNIX 3 VMS 3 VM USERS: filename filetype VM 1 VM 2 VM 3   あなたは3回 GET コマンド(各ファイルに1つずつ)を使用しなけれ   ばなりませんが、これらの3つの GET コマンドのすべてを1つのレタ   ーに書くことができます。例えば、私が3つの VM ファイルを得ようと   思えば、私のレター本文は次のようなものになります:(訳注2) GET VM 1 F=MAIL GET VM 2 F=MAIL GET VM 3 F=MAIL   (重要)GET コマンドを -- あるいは他の*いかなる* LISTSERV コマ       ンドも -- Eメールの*本文*に書きこんで LISTSERV@UA1VM.       UA.EDU 宛に送るのだということを忘れないでください(この       私のレターへの返信は作動し*ない*でしょう)。 3) もしあなたが UNIX 、VAX/VMS や VM のシステム上にない場合 -- ある   いはどの種類のシステムかが確かでない場合 -- あなたの所属するロー   カルのインターネットサービス提供者に連絡して、あなたのメールプロ   グラムの使い方に関する情報をお尋ねください。   特に、下記の情報について問い合わせるとよろしいでしょう。     - あなたのEメールプログラムへのアクセスの仕方     - 送られてきたEメールを開いて読む方法     - Eメールをファイルに保存する方法     - Eメールのプリントの仕方     - 誰かに新規のEメールを送る方法     - 送られてきたEメールへの返信の仕方     - 返信に文書を引用する方法(とこの文書の編集の仕方)   あなたは多分、上記のことをほとんど知っているでしょう。しかし、そ   れをときどき見直すことは害にはなりません。 4) もしあなたがインターネットのすべての国名コードの一覧表を得たいの   なら、GET コマンドを使ってアラバマ大学の LISTSERV のファイルサー   バから COUNTRY CODES というファイルを取りなさい。 (訳注1)crisp には、ぱりぱりする、かりかりする、さらには文章がきび      きびしている、などの意味があります。 (訳注2)Eメールでファイルを取りよせる場合、 GET コマンドの書式は      相手方のファイルサーバによって異なることがあります。      図書館情報大学から ROADMAP の英文原本を取りよせるときには、      宛先を roadmap-original@DL.ulis.ac.jp とし、また、翻訳を取      りよせる場合は、宛先を roadmap@DL.ulis.ac.jp として、本文 は下記の書式に従ってください。         GET ディレクトリー名/ ファイル名         end      "end" 以下は無視されますので、シグネチャーなどが自動的に付      加される場合にはかならず書きくわえてください。      WEEK1 (というディレクトリー)の MAP01.txt(というファイル)      を取りよせる場合には、         GET WEEK1/MAP01.txt         end      と記述します(ディレクトリー名、ファイル名は大文字と小文字      を識別しますので、正確に入力してください)。 また、ファイル名を省略して         GET WEEK1         end      とすれば、WEEK1 のディレクトリーに含まれるファイルすべてを      取りよせることができます。       Roadmap 原作著作権所有者   (c) 1994 Patrick Douglas Crispen                PCRISPE1@UA1VM.UA.EDU 翻訳者            井上 信                m-inoue@nri.co.jp 日本語版著作権所有者     (c) 1995 Reiko Sekiguchi                sekiguch@ulis.ac.jp 本稿は、1995年3月19日、パトリック・クリスペン氏から関口が翻訳・ 配布の許可をいただいて、翻訳・配布しているものです。