多様な情報源を対象とするWWWベース電子図書館システム

市山 俊治 神谷 俊之 宮本 温子
日本電気(株)関西C&C研究所
〒945 大阪市中央区城見1-4-24
Tel: 06-945-3217, Fax: 06-945-3096,
Email: {ichiyama, kamiya, miyamoto}@obp.cl.nec.co.jp

概要

 ネットワーク上の多種多様な情報源から的確な情報を容易に収集できる機能の 提供を目的に、(1)OPACサーバやディレクトリ検索サーバ等の多様な情報源から一B 度の操作で一括して横断的に情報を収集するマルチプロトコル横断検索機能、(2) 大量の検索結果から的確な情報を簡単に絞り込める自動分布グラフ表示やランキ ング表示による絞り込み検索支援機能、(3)検索結果をVRMLを用いて3次元仮想書 架として視覚化し、ブラウジングを容易にする3次元仮想情報空間表示機能等を特 徴とするWWWベースの電子図書館システムを紹介する。

キーワード

電子図書館, WWW, 情報検索, 視覚化, VRML, 仮想書架

WWW-based Digital Library for Heterogeneous Information Resources

Shunji ICHIYAMA, Toshiyuki KAMIYA, and Haruko MIYAMOTO
NEC Corporation, Kansai C&C Research Laboratories
1-4-24 Shiromi Chuuou-ku Osaka 945 JAPAN
Phone: +81-6-945-3217, Fax: +81-6-945-3096,
E-Mail: {ichiyama, kamiya, miyamoto}@obp.cl.nec.co.jp

Abstract

 This paper describes a WWW-based digital library system which has three main features: (1) multi protocol concurrent uniform retrieval method to access diverse and heterogeneous information resources such as OPAC servers and directory search servers on the network, (2) assist function for selecting suitable data from a large amount of searchable data with graphical visualization of retrieved data with automatic selection of classification axes, and title display with ranking, (3) retrieved data visualization for easy browsing by displaying data in the 3D virtual space with stacks by using VRML. Main goal of the system is to offer the users an easy information access method to get appropriate data from many kinds of huge amount of the data through the Internet.

Keywords

Digital Library, WWW, Information Retrieval, Information Visualization, VRML, Virtual Stacks, Concurrent Uniform Retrieval

1. はじめに

 図書館内の目録情報の電子的管理から始まった電子図書館は、一次情報のデジ タル化、ネットワーク化により、いつでも、誰でも、どこからでも、必要な資料 が入手できるマルチメディア情報収集利用手段として実現が期待されており、国 内外で要素技術やシステムインテグレーションの研究開発が盛んに行われている [NSF],[佐藤89],[柿本95],[藤澤96],[tani95]。

 コンテンツについてもデジタル化のコストや著作権などクリアすべき課題は多 いが、入力、蓄積、検索、利用に関わる要素技術とインテグレーション技術が進 歩し、ネットワークの普及と相まって、”できることからやる”という意識と熱 意で世界各地の図書館、美術館、博物館等で一次情報や二次情報のデジタル化と ネットワークを介したアクセスサービスが実際に行われつつある[学情][LC][海外 OPAC][国内OPAC]。

 電子図書館システムは、コンピュータ操作知識、検索に関する知識、利用目的、 検索要求の明確さ、応答時間や網羅性といった検索実行への要求などの点で、幅 広い層の利用者が利用できるようなインタフェースやサービス機能を提供する必 要がある。

 またネットワークの発達に伴い、WWWや従来からの情報サービスを含め、多様な 情報がアクセスできる環境が整いつつあり、情報収集能力やコスト面から、分散 情報源の利用を前提としてシステムを構築する必要が出てきた。しかし、対象と する情報空間が拡大され、システムの能力が向上しても、一般に情報源毎にアク セスインタフェースが異なるため、利用者がそれを充分に活かしきれないという 問題が起きる。WWWのホームページのような同種の情報源を横断的に検索するディ レクトリ検索サービスはいくつか実現されている[Altavista][千里眼][Infoseek] が、さらに、異質で多様な情報源をシームレスにアクセスできる環境を構築して いくことが重要である。

 シームレスな情報アクセス機能の実現に際しては、プロトコル、アクセス手順、 サービス機能等の様々な階層における情報源の多様性、データ量の膨大さと冗長 性、計算機スキルや利用目的等の利用者の多様性を考慮する必要がある。

 我々は、異種分散型の情報源の利用を想定し、幅広い利用者が、広大な情報空 間から適切な情報を取得し、充分な活用ができるユニバーサル電子図書館の実現 を目指して、開発を進めてきた。

 本稿では、主に調査/研究を利用目的として、ある程度計算機に慣れた利用者 がオフィスや研究室などで利用することを想定して開発したシステムで、(1)多様 な情報源からの情報収集を可能にするマルチプロトコル横断検索機能、(2)大量の データからの絞り込み検索支援機能、(3)データ量の直感的な把握を可能にする検 索結果の3次元仮想情報空間表示機能を持つことを特徴とするWWWベース電子図書 館について報告する。

2.WWWベース電子図書館の設計

2.1 多様な情報源

 従来館内のLANを通じてしか利用できなかった所蔵図書の二次情報をインターネ ットを通じて提供する大学や研究機関の図書館が増えてきた。現在、国内では、 30余りの大学や研究機関がOPACサービスを公開しており、telnetやhttpでアクセ スすることができる。また、海外では、Z39.50でアクセス可能な情報源をhttpで アクセスできるようにしたZ39.50Gatewayなど、様々なプロトコルでサービスが提 供されている。世界中で公開されているOPACサービスは約800ヶ所に上る。また、 公開されているOPACサービスの検索項目はそれぞれの情報源により異なる。

 以上のようなネットワーク上のグローバルな情報源の他に、利用者の属する組 織やコミュニティ内で管理されるローカルなデータベースやファイルなども重要 な情報源である。ローカルな情報源には一般に二次情報だけでなく一次情報が含 まれていることが多い。

 急激に膨張を続けるWWWにおいて、自分に必要な情報がどこにあるのかが簡単に わかる機能は非常に重要である。WWW上の情報アクセスを支援する機能として様々 なディレクトリ検索サービスが提供され、キーワードを入力することにより、誰 でも容易に欲しい情報が入手できるようになってきた。但し、httpというプロト コルでアクセス可能ないわゆるWWWホームページの情報に限定されている。

2.2 設計要件

 本システムを開発するにあたって、利用者のタイプとしては、WWWブラウザの操 作、キーボードからのキーワード等の入力が行える、計算機にある程度慣れた人 を想定した。利用目的は、検索要求が比較的明確な調査・研究を中心に考えた。 対象とする情報の特徴としては、ローカルあるいはグローバルなネットワーク上 に分散した大量の情報で、サービス機能やアクセスのための通信・対話プロトコ ルの面で多様な、一次情報、二次情報を想定した。提供すべき機能としては、書 誌情報検索、所在情報検索、一次情報閲覧を中心に考えた。利用者インタフェー スとしては、こうした多様な情報源をシームレスに検索し、大量の情報から的確 に効率よく絞り込んで検索、利用するための統一的でかつ直感的に把握しやすい 検索インタフェースや表示インタフェースの提供を目指した。利用環境としては、 端末の環境に依存せず、特別なソフトウェアやハードウェアを必要としないオー プンな環境を実現するために、WWWブラウザからWWWベース電子図書館サーバをア クセスする形式にした。これにより利用者は自分の机上の端末からWWWブラウザ以 外特別なソフトを一切使わずに、デジタル図書館機能を利用することができる。

2.3 システム構成

 図1にシステム構成を示す。

 CERN HTTPD を起動するWWW電子図書館サーバと、ローカルな情報を蓄積するた めのローカルデータベースサーバで構成され、両者はTCP/IPベースのLANにより接 続されている。WWW電子図書館サーバはインタネットに接続され、国内外のOPACサ ーバやディレクトリ検索サーバにアクセスすることができ、また、WWWクライアン トからWWW電子図書館サーバをアクセスすることができる。データベースサーバで は、書誌事項などの二次情報はOracle RDBで管理し、一次情報はファイル形式で 保持している。

 本システムはhttpdによるWWWサーバのCGI(Common Gateway Interface)を利用し ており、HTTPのFORM(fill-out form)によって送られてくる文字列を入力として動 作する。

2.4 検索/利用機能

 本システムでは以下の検索/利用機能を提供している(図2)。

(1)マルチプロトコル横断検索機能

 インターネットでアクセス可能な複数の機関のOPACシステムやデ ィレクトリ検索システムをWWWブラウザから同一手順でシームレス に検索できる機能である。

(2)絞り込み支援機能

 (a)自動分布グラフ表示機能:ヒット件数が多い場合に、検索結果を検索要求を 元に自動選択した分類軸に沿ってグラフ表示する機能。絞り込みの条件の選択を 容易にする。利用者の指定したグラフ範囲での絞り込みを行うことができる。

 (b)ランキング表示:ヒット件数が多い場合に、利用者が求める情報を迅速に見 つけられるように、検索結果を検索条件との適合度の順に表示する機能。結果リ ストの先頭近くに求める情報が表示される可能性が高くなる。

(3)3次元仮想情報空間表示機能

 VRMLを用いた3次元仮想書架の生成により検索結果の直感的な把握、容易 な閲覧を可能にする。

(4)その他の検索機能

 (a)書誌事項検索:タイトルや著者名、キーワード等の書誌情報の検索を行う。

 (b) 全文検索:一次情報や抄録情報の中から指定されたキーワードを検索する。

 (c)検索語のシソーラス展開・訳語展開:書誌事項検索モードや全文検索モード の検索実行において、シソーラスを利用した検索語の類義語展開を行う。検索語 の翻訳を行い、検索語に訳語を追加することにより網羅的な検索が行えるように する。

 (d) 日本語検索:日本語文による検索要求から検索条件を抽出して検索を行う。 利用者が検索手段に迷った場合に有効。実行可能な検索機能からの制約を用いた 意味解析による高速・軽量性・ロバスト性を特徴とする。

 以上の機能は現在のところ、マルチプロトコル横断検索機能を除 いて、ローカルな情報源を対象にしている。

 以下の章では、本システムの主な特徴であるマルチプロトコル横断検索機能、 絞り込み支援機能、3次元仮想情報空間表示機能について述べる。

3. マルチプロトコル横断検索機能

3.1 概要

 インターネットに接続されたtelnet,httpによりアクセス可能な複数の機関のO PACシステムやディレクトリ検索システムを対象に、WWWブラウザからの一回の検 索指示で横断的に検索を行い、結果を表示するための機能である[谷93]。利用者 は、機関やシステム毎に異なる接続方法や操作手順を意識することなく、単一の 検索方式で、一度の操作で複数の情報源の検索が行えるシームレスな検索環境を 提供している。

3.2 特徴

 本機能の特徴は、以下の通りである。

 (1)アクセスの手続きを登録することにより、ネットワークで接続された他機関 のOPACやディレクトリ検索サービスを対象としたキーワード検索が行える。

 (2)一度に複数の他機関OPACやディレクトリサービスを対象とした横断的な検索 が行える。

 (3)検索対象、運用時間などの条件を記述したリファレンス情報データベースの 参照により、アクセス対象とするOPACを自動的に選択できる。

 (4)アクセス先の登録の追加、更新が、検索スクリプトの作成とアクセス先プロ ファイルの作成により簡単に行える。

 更に、

 (1) 各データベースに含まれる対象領域毎の件数、詳細度、網羅 性、収録年度等からなるデータベース特徴知識を利用し、データベ ースの選択を行う、

 (2) 表記の違いや冗長性を排除するために、検索結果の統合処理を行う、

機能等を開発中である。

3.3 処理の流れ

 図3にマルチプロトコル横断検索の処理の流れを示す。

 (1)検索要求入力画面(図4)で検索語、アクセス先の指定を行う。

 (2)選択されたアクセス先の中で、リファレンス情報データベースを参照して、 営業時間などの条件を事前にチェック。

 (3)各アクセス先用の検索スクリプトをテンプレートと検索要求から生成する。

 (4)順次アクセスを行う。

 (5)検索結果が得られたアクセス先のリストと検索結果を表示するhtmlを作成す る。

 図5に検索スクリプトのテンプレートの例を示す。例中で "U>"で始まる行は利 用者側のWWWサーバから検索先のサーバに送られるメッセージの内容を示し、"S> "で始まる行は、検索先のサーバから送られてくるメッセージ(の一部)を示す。

3.4 考察

 関連する研究としては、GAIA[rao93]やGC-ASK[GC-ASK]がある。GAIAは分散デー タベースアクセスにおけるプロトコルで、各データベースにおける検索を非同期 に行い、マシンの負荷状況や見積もられる操作時間等を通知し、利用者の検索戦 略支援を行う。GAIAでは、あくまで操作決定、判断は利用者が行うことを想定し ているが、本システムでは利用者が望めば、操作の決定や判断もシステムが行う ことを目指す。また、GC-ASKではテキスト、イメージ、地図等を含む異種分散情 報源に対するグローバルアクセスシステムが計画されている。本システムのねら いに近いと思われるが、現在開発中であり、詳細は不明である。

 所在情報検索を実現する方法としては、所在情報データベースを作成すること が考えられるが、ネットワークで接続され、刻々と変化する世界中の膨大な情報 を考えると、個々の資料の所在情報を集中的に管理することは、現実的でない。

 WWWのホームページでは、既に、数多くのディレクトリ検索サー ビス[AltaVista][千里眼]が稼働しており、更にそれらの検索サー ビスを横断的に利用できるサービス[SavvySearch]が公開されてい る。

 一極集中型ではなく、それぞれ独立に分散して存在する所在情報データベース を統合的に利用するための統一的なインタフェースは非常に重要であり、有用で あると考えられる。本システムはその一部を実現したものである。

 電子図書館はテキストデータやイメージデータなどの一次情報がデジタル化さ れ、オンラインで利用できるところに最大の特徴がある。今後、遡及入力や著作 権の問題をクリアしつつ、古文書や貴重書などから順次デジタル化が進むと考え られる。こうしたデジタル化は同時並行的に行われるため、それらのデジタル化 データを集中的に管理することは難しい。独立分散的に運営されるディレクトリ 検索サービスが相互に緩やかに連携し合い、利用者からは統一的なインタフェー スで横断的な検索、アクセスを可能にすることは、将来的にも重要性を増してい くと考えている。

4. 絞り込み支援機能

 大量のデータを対象に検索を行った場合、検索条件によってはヒット件数が大 量になる場合がある。そうした場合検索結果の一覧を眺めて、求める情報を選び 出すことは容易ではない。従来のシステムでは条件を追加してヒット件数を絞り 込む機能が提供されてきたが、適切な追加条件を設定するにはかなりの熟練を要 する。本システムでは利用者が求める情報にできるだけ早くたどり着けるように、 自動分布グラフ表示機能とランキング表示機能という二種類の絞り込み支援機能 を提供している。

4.1 自動分布グラフ表示機能

 検索結果数が多い場合に、利用者が結果の分布状態を把握できるようにするこ とと、絞り込み条件を設定しやすくすることを目的として、書誌データのカラム を軸としたグラフ表示を行う(図6)。表示されたグラフ項目を画面上で指定す ることにより絞りこみが簡単に行えるため、適切な絞り込み条件が思いつかない 場合に有効である。

 丸山らのシステム[丸山94]でも新聞記事の検索システムにおいて応答時間短縮 のために推定値をグラフ表示する機能が提供されている。本システムのグラフ表 示機能は、利用者が表示軸とするカラムを明示的に指定しなくても検索条件から システムが自動的に表示軸を決める点に特徴がある。

 グラフ表示の手順を以下に示す。

 (1) 検索条件に応じて、分布の表示軸に用いるカラムを選択

 (2) 選択したカラム値毎に件数をカウントする検索式を生成

 (3) 検索を実行

 (4) 検索結果を棒グラフで表示

 表示軸に用いるカラムの選択基準として、以下の二点を考慮した。

(1) 利用者の入力した条件に関連するカラムを優先する

 利用者が検索の手掛かりと考えているカラムと関連するものに対しては、知識 を持っていると仮定。

(2) 絞り込みを支援する目的なので、適度に分散するカラムを選ぶ

 実際の分散状態を調べて判断することは容易であるが、応答時間が問題となる。 本システムでは、値が一意に制約されたカラムは不適とみなすだけにとどめた。

 具体的には検索条件に応じて、以下のようなIF/THENルールにより表示軸を選択する。

[表示軸自動選択ルールの例]

 グラフ項目の表示順序については、キーワード、著者名、所属名の場合にはグ ループ化してカウントした件数が多い項目順に並べ、画面の大きさとの兼ね合い から7つまでを区別して、残りは「その他」でひとまとめにして表示する。発行年 月日の場合には、件数に関わらず、古いもの順に全ての項目を表示する。

4.2 ランキング表示機能

 ランキング表示機能は、利用者から入力された検索語を受けとって検索を行な い、その結果のレコードを利用者の要求を満たす度合を示すスコア(適合度)順 に表示する機能である(図7)。

 このスコアは、各レコード中に出現する語を出現カラム別に取り出してその重 みの値とともに格納した索引語テーブルを参照して算出される。図 8にランキング表示での処理の流れを示す。

(1) 索引語の抽出

 索引語は、タイトル、抄録などのレコードの内容を表現しているテキストのカ ラムから抽出する。抽出する索引語、テキストを形態素解析し、不要語(活用語 尾、助動詞、連体助詞、終助詞、副助詞、格助詞、並列助詞)を除く。

 例えば、「データベース・システム概論」というタイトルカラムの場合、 「データベース/・/システム/概論」のように形態素に分割し、さらに不要語の 「・」を除いて「データベース」「システム」「概論」を索引語とする。

(2) 重み計算

 重みはその語がどの程度そのレコードの内容を特徴付け、他のレコードと 識別することができるかを示す値であり、索引語テーブル中に記載されている。 重みは以下のような計算式で算出される。

重み =(出現頻度×出現レコード数の逆数)/(カラム長さ)

ここで、 出現頻度: 語が各レコードの各カラムにおいて出現している頻度、 出現レコード数の逆数: 語がデータベース中で各カラムに出現しているレコー ド数(出現レコード数)を全レコード数で割った数、 カラム長さ: 各レコードの各カラムの長さ、

とする。

 例えば、先ほどの「データベース・システム概論」というタイトルの索引語 「データベース」「システム」「概論」の重みを考えてみる。出現頻度はどの語 も1、カラム長さは13である。全レコード数を999、出現レコード数をそれぞれ、 「データベース」:11、「システム」:56、「概論」:5であるとすると、それぞ れの索引語の重みは、

 「データベース」:(1×999)/(13×11) = 6.98601

 「システム」:(1×999)/(13×56) = 1.47781

 「概論」:(1×999)/(13×5) = 15.36923

のように計算できる。

(3) 検索語の入力

 ユーザに検索要求を表す検索語を入力してもらう。

(4) 検索

 検索語の同義語、上位語、下位語、関連語をシソーラス上で展開し獲得する。 このシソーラス展開語と検索語で索引語テーブルを検索し、それらを含むレコー ドをそのレコードにおける検索語あるいはシソーラス展開語の重みと共に取り出 す。

(5) スコア計算

 検索結果の各レコードのスコアを計算する。スコアはレコードに含まれる 検索語の重みの総和となる。例えば、先ほどの「データベース・システム概論」 というレコードが検索語「データベース」と「システム」で検索された場合には、 それぞれの重み6.98601と1.47781を足した8.46382がこのレコードのスコアに なる。ただし、シソーラス展開語でレコードが検索された場合には、そのシソー ラス展開語の重みに、シソーラス上での検索語との関係に応じた値を乗じたもの を重みとする。

(6) スコア順結果の表示

 図7に示すように、スコアの高いものから順に検索結果を表示する。

5. VRMLを用いた3次元仮想情報空間表示機能

 本章ではパソコン等からネットワーク経由で書籍などのデータベースを検索し、 結果をインターネット上の3次元空間記述言語VRML (Virtual Reality Modeling Language)を用いて、3次元的な書架として視覚化する3次元仮想情報空間表示機 能について述べる。

5.1 VRMLを用いた検索の視覚化

 VRMLはインターネット上で3次元の仮想空間を表現するため提案された3次元形 状記述言語である。3次元空間中のオブジェクトの形状や色、テクスチャの記 述に加えて、インターネット上での他のリソースへのリンクをURLとして記述 することができることが特徴である。

 本システムでは、VRMLを用いて検索結果を3次元の形状として視覚化すること によって、従来のデータベース検索でテキストとして一覧形式で表示する場合 に比較して、データ量を直観的に把握できるなどの効果が期待できる。

5.2 検索視覚化機能の構成

 検索視覚化機能の構成を図9に示す。VRMLファイルの作成はWWWサーバのCGIス クリプトとして実装されている。通常のCGIスクリプ トがWWWのFORMを用いたページからの入力を受け取って、HTMLファイルを生成 してクライアントに送るのと同様に、本表示機能では利用者の検索要求に対する 検索結果をVRMLファイルとして生成してクライアントに送ることによって仮想 書架を動的に生成する。

 VRMLファイルは表示するデータの位置や大きさ、大きさなどの属性が各オブジ ェクトに対して階層的に記述できる。本システムでは本棚や本の基本的形状につ いては、あらかじめ3次元CADツール等で作成する。作成した形状は形状全体の 位置、大きさ、および色に関しては変更可能なパラメータとし、テンプレート としてデータベースに蓄積する。

 VRML生成スクリプトでは必要なテンプレートを選択してパラメータを計算した 上で組み合わせて最終的なVRMLファイルを生成する。VRMLテンプレートからのVR MLファイル生成のイメージを図10に示す。パラメータとしてページ数と本の厚 み、版型データと本の大きさ、出版者と本の色とを対応付け視覚化を行なう。す なわち物理的に大きな(分厚い)本は大きく表示され、また出版者ごとに背表紙の 一部の色が異なるように表示される。

5.3 検索の流れ

 利用者から見た検索の流れについて説明する。VRMLは利用者がテキストを入力 する機能を持たないので、テキストを入力して検索を行なう部分についてはHTML のFORM機能を併用することになる。

(1) 検索画面で検索条件を入力し、検索を実行する。

(2) 検索結果はVRMLビューアに書架に並ぶ本の形で行なわれる(図11) と同時にWWWブラウザ側にはタイトルリスト形式で表示される。

(3) 利用者はVRMLビューアを操作して表示された仮想書架内を歩きまわり、書 架に接近して、より詳しい情報を見たい本をマウスクリックで選択する。また はWWWブラウザ上のリストから選択することによって詳細な書誌 情報をWWWブラウザ上に表示する。

6. おわりに

 本稿で述べたWWWベース電子図書館は、現在のデジタル化情報や要素技術の状況 に即して有用なサービスの実現を追求したものであり、一次情報の表示機能は含 みつつも、二次情報の流通に主眼を置いたものになっている。そのため、現在に おいても実用性が高く、将来的にも有用性が益々高まることが期待できるシステ ムが実現できた。

 電子図書館実現の前提である情報のデジタル化については、従来から指摘され ている通り、著作権や入力コストの問題があり、図書館所蔵品の主要部分を占め る一般図書の本格的なデジタル化にはしばらく時間がかかりそうである。しかし ながら、古文書/貴重書、学会誌、組織内の資料を中心に着実にデジタル化が進 むと考えられる。

 こうした状況において、本稿で述べたような実用指向の研究開発と共に、高精 細な画像や3次元CGやマルチモーダルインタフェースを用いた臨場感あふれる インタフェース、自律的で能動的な対話ナビゲーション、一次情報の高度活用技 術など先進的な電子図書館の開発を積極的に進める必要があると考える。

 また、出版社や新聞社などのメディア業種との協同形態を探ると共に、入力コ スト低減化技術の開発などに力を入れ、実用規模のシステム化技術を確立、実証 していく必要があると考える。

[参考文献]

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