Digital Libraryは図書館か --ある図書館研究者のインターネット体験

根本 彰
図書館情報大学
〒305 茨城県つくば市春日1ー2
tel 0298-52-0511 fax 0298-52-4326 email anemoto@ulis.ac.jp

抄録

研究室に汎用大型機のパソコン端末を用意したところから始まって、Macintosh を学内LANにIP接続してインターネット体験をするまでの試行錯誤のプロセ スを述べ、そのようにして徐々に開かれてきたインターネットの世界の特徴を従 来の図書館の機能や図書館資料の特徴と比較しながら論じた。また、とくにアメ リカの図書館での実践を紹介しながら、既存の図書館がインターネットにどのよ うに取り組むべきかについて述べた。

IS THE DIGITAL LIBRARY A LIBRARY?: SOME PERSONAL REFLECTIONS UPON THE INTERNET

AKIRA NEMOTO
University of Library and Information Science
1-2, Kasuga, Tsukuba, Ibaraki 305, Japan
phone:+81-298-52-0511 fax:+81-298-52-4326 email:anemoto@ulis.ac.jp

abstract

The author, a scholar of librarianship, has prepared his own PC environment for the Internet connection since last year at the laboratory. The former part is a report for network beginners of his try and error process of setting the environment. The latter part describes his personal reflections upon the relationship among traditional library services, the Internet, and some conceptions of digital library. He introduces the activities conducted by US libraies and argues how libraries should go with the network environment.

キーワード

digital library, 電子図書館, 図書館, インターネット, Gopher, WWW, 電子メール, ネットニューズ, PACS-L, Telnet, Anonymous FTP, 図書館Gopher Server, MARVEL, BUBL, Project Gutenberg, テキスト, マルチメディア, ドキュメントデリバリー, 資料保存, ネットワーク図書館員

1 はじめに

 筆者は、図書館制度や図書館資料についての研究を主として社会科学や人文学 の方法に基づいて行ってきた純粋に文系の研究者である。図書館の業務処理や情 報検索にコンピュータ技術が導入されていることは知っていても、とくにその方 面に関心をもつことはなかった。それがたまたま図書館情報大学という技術的ア ドバイスを受けやすい研究環境にいることもあって、インターネットに関心をも ち研究室から利用可能な情報環境を作り上げることができた。

 本稿は、インターネットという大きな可能性をもつネットワーク環境をのぞき 込む窓をもった一図書館研究者のdigital library私論である。前半では筆者自 身のインターネット体験をそのまま体験した順序に沿って記述し、後半はその体 験から得られた知見をもとにインターネットやdigital libraryについての展望 を述べることにする。

 体験談を文章にすることにしたのは、インターネットそのものがまだまだ多く の図書館員、研究者(とくに文科系の研究者)、学生にとって未知のものであろ うし、また筆者が試行錯誤的に行ったことはそれらの人々にとっても何らかの役 に立つことがあろうかと思うからである。インターネットやマルチメディアに関 するわが国での議論はいまだきわめて技術的なものかあるいはマニアックなもの が多く、それでなければビジネスチャンスの発見にやっきになっている関係者の 観測記事によって占められている。ここでは、技術的素人なりの視点で、これら の新しい技術にどのように取り組むべきかを考察してみたい。

 その際に現実的な視点からのアプローチに限定して論じたい。この領域の議論 がおうおうにして技術的可能性を延長したところで構想される未来物語になりが ちであるが、本稿ではあくまでもここ数年くらいのタイムスパンで考察すること にする。表題にはdigital libraryとあるが、筆者は様々なdigital library構想 を論評する立場にない。後に概念を整理するが、とりあえずはdigital library という言葉を現在インターネットを利用して得られるデジタル情報源(それも積 極的に公開しているもの)の集合体というニュアンスで受け取っていただければ 幸いである。

2 WS端末接続による試行錯誤

 汎用大型機(メインフレーム)やオフコンがメインで図書館業務や情報検索の ために用いられている間は、筆者にとってコンピュータはひどく縁遠いものに感 じられた。これらを使うにはOS、プログラム言語、入出力の手続きなどにめん どうなコマンド操作が必要でとても気軽に利用する気にはなれなかったのである 。しかしダウンサイジングと呼ばれる波がかつての大型機の機能をパソコンレベ ルで実現できるようにし、おまけに利用するためのソフトウェアが以前のものに 比べて格段に理解しやすいインターフェースを備えるようになってコンピュータ の実用性が身近な存在になってきた。極端に言えば、ワープロとしてのみに使っ てきた機械が汎用の情報通信機械に変貌しつつあるという感じである。

 もう一つの要素は、電子メール利用の動機づけが強かったことである。今から 6年前にアメリカの大学に留学したときにすでに向こうでは文系の研究者でも日 常的に電子メールで情報交換をしているのを目の当たりにしてたいへん驚いたの だが、それからだいぶしてから勤めている大学に学内LANがあってこれが外部 のネットワークにつながり外国との電子メールのやりとりに使えることを知って ぜひ使ってみたいと思うようになった。大学のネットワーク環境が筆者のニーズ とうまく結びついたのである。

 筆者は、従来からPC98とマッキントッシュを研究室においていた。昨年の 春にたまたま研究室に引き込んであるケーブル(これは数年前に学内の各研究室 に配線されたものであるが、どのように利用するかの説明はほとんど聞いたこと がなかった)のコネクターがパソコンのRS232C(通信用のモデムをつなぐ端子) のコネクターに似ているように見えたため試しにPC98につないでみるとつな がり、パソコン通信用のソフトでアクセスしてみるとプロンプトが出ることを発 見した。これはパソコンを他のコンピュータのシリアル通信端末として利用でき ることを意味する。後にそのケーブルはコミュニケーションサーバにつながり、 学内LANにパソコン等からアクセスできるように中継しているものであること を知ったが、ともかく研究室のパソコンが学内のコンピュータにつながることが わかり通信への興味が強まった。

 最初にやったことは電子メールの使用であった。はじめの頃はインターネット の仕組みもよくわかっていなかったので、電子メールを利用するのに学内のシス テムではなく学術情報センター(NACSIS)の電子メールシステムを使った。これ は、まえから情報検索のために学内の大型機を通じて学術情報センターのNACSIS-IR を利用しており、こちらの方がなじみがあったからである。つまり、PC98− −コミュニケーションサーバ−−大型機−−学術情報センタ−というように接続 していたのである。コミュニケーションサーバを除いてこれらの接続のたびにI Dおよびパスワードを入力しなければならなかった。

 まだ右も左もわからない状態であり、いろいろな失敗をした。最初に日本人に あてて出したインターネット・メールの本文に自分の名前を入れ忘れて、NACSIS のIDだけではだれだか分からないという返信をもらったりした。また、日本語を 送信できずしばらくローマ字で通信して、通信相手に迷惑をかけた。これなどは 、パソコン通信ではシフトJISコードを使うのに対しインターネットではJI Sを使うという、通信をする人にとっては常識のことすら知らずに始めたことが 原因であった。

 しばらくして、学内のマルチメディア・ワークステーション・システムに登録 してIDをもらえばそれがそのままメールアドレスとして使えることを知り、学内 の総合情報処理センターが発行している初心者用のマニュアルを見ながら、ワー クステーションにアクセスし、UNIXのmailコマンドを使ってともかくメールのや りとりをすることができるようになった。UNIXの.login や.mailrcなどの設定フ ァイルも見よう見まねでなんとか使えるようになった。ワークステーションを使 う方が先のような何段階もの接続をしないですむので、だいぶ快適に電子メール を使えるようになった。最初のうちはメールをやりとりする相手など多くはない ので、実用性という点では大きなメリットがあったわけではない。しかしながら 、もうすでに旧型機になっているパソコンが急に世界中どことでも通信できる機 械に変身したことは大きな驚きであった。

 UNIXの入門書を見ていてtelnetやFTP(file transfer protocol)といったコマ ンドがこの環境のままで利用できることがわかった。telnetは他のコンピュータ への仮想的な接続を可能にし操作しているコンピュータに接続先のコンピュータ と同様のことをさせる機能をもつものであり、FTPは他のコンピュータのファイ ルにアクセスしてファイルを送ったり受け取ったりする機能をもつものである。 また、それらとはやや趣が異なるが、ネットニューズが学内LANの環境にも配 信されており、UNIXのrnというコマンドで読むことができることもこの頃知り、comp やfjといったニューズグループのいくつかをときどき読んでいた。soc.libraries.talk という図書館関係のグループにも目を通すことにした。さらに、リストサーブ(listserv) という機能によって、電子メールを利用したディスカッショングループが多数あ ることを知り、その中のPACS-Lという電子図書館を論ずる(図書館員を多数含ん だ)グループに加入しメールの配信を申し込んだのもこの頃である。これはヒュ ーストン大学の図書館がサービスしているもので、今でも毎日10通以上のメー ルを配信し、電子ジャーナルや電子索引のような実験的なサービスも提供してい る興味深いものである(後述)。

3 最初のインターネット体験

 そうこうしている1993年夏から秋にかけて、インターネットがアメリカの 図書館においてきわめて重要な役割を果たし始めていることが報じられるように なった。また、クリントン政権の副大統領ゴアが上院議員時代から情報スーパー ハイウェイ構想の主唱者であり、新しい政権においてこの方面の政策に力を入れ ること、すでにそのプロトタイプとして全米研究教育ネットワーク(NREN)が検 討されていること、これらの政策において図書館は医療、教育と並んで重要な位 置づけにあることなどが、断片的に伝えられるようになった。

 わが国の図書館関係者においても米国のインターネット事情が知られるように なり、それに関する研究発表が行われたり、雑誌論文が書かれたりするようにな った。それらで紹介された米国でのサービスや技術の実例は最初のうちは遠い存 在のようにも思えた。しかしながら、インターネットのガイドブックがアメリカ ではいくつか刊行されており、何点か入手したがとくに、Ed Krol著The Whole Internet:User's Guide & Catalog(注1)がよくできており、これを手がかり にインターネットの海に乗り出すのは楽しい体験であった。リモートログイン(telnet) 、ファイル転送(FTP)、電子メール、ネットニューズの4つの機能が使えればそ こで紹介されていたものへのアクセスには事足りることが多いのである。きわめ て限定された情報環境ではあったが、それらを駆使して主として米国のいろいろ な情報源に触れ、多くの新しい発見をした。この頃体験したことは図書館研究の 道に入って以来久々に味わう興奮を伴うものであった。electronic library、 digital library、 virtual library、何と呼んでもよいのだが、何か新しい画 期的なことが起こり始めているという実感があった。

 当時の筆者のインターネット接続環境から利用できたもので、digital library を考える上で重要だと思われたものに次のものがある。

(1)インターネット上での図書館OPACの公開

 わが国でも、OPACすなわち利用者向けの図書館目録が公衆電話回線によるパソ コン通信やキャプテン、LANなどの通信環境を通じ図書館外から利用可能にし ているところは少なくない。しかしながら、インターネットから利用できるとい うことは目録情報を世界中に向けて完全にオープンにしているということを意味 する。このことは、一つの図書館がもつ資料がそこのローカルな利用者だけでは なく誰でもがアクセスできる普遍的な情報資源として利用可能にすることであり 、図書館運営において画期的な意義をもつことだと思われる。

 OPACへはその図書館のホストコンピュータへtelnetで接続して利用するのが一 般的だが、もう一つ優れていると感じたのは、接続して最初に現れるメニューの 中にOPACだけでなくその図書館が独自に作成しているデータベースや外部の作成 者から導されているデータベースがたいていの場合含められているということで ある。公共図書館では地域情報のデータベースがつくられていることが多いし、 大学図書館では学術雑誌の索引抄録データベースが導入されていることが多い。 外部データベースの場合アカウントがないと利用できないことが多いが、そうい う契約なのか、「内緒でそっと」なのか部外者でも利用できることもたびたびあ った。緻密につくられ、頻繁に更新されているらしい公共図書館の地域データベ ースには図書館が地域で果たしている大きな役割を感じた。これらのサービスは インターネット環境のために用意したわけではなく、もともとこうしたことの元 になるものをつくっているからこそできるものである。

 OPACをインターネット公開する図書館は大学図書館を中心にすでに全世界で1 500館以上にのぼり増加の一途をたどっている。これにあわせて、これらの目 録の所在を検索するためのサービスがいくつも存在しているところもインターネ ットならではである。

(2)図書館Gopher server

 Gopherは機関がもつ情報資源をメニューからの選択によって提示するものであ り、階層的なメニューを用意することで多様な情報源へのアクセスを可能にする 。現在でこそWWW(World Wide Web)がはやりでいずれはこのGUIをもつインタフ ェースにおきかわるのかもしれないが、Gopherはそのシンプルさとキャラクタベ ースであることが図書館の本質的性格(後述)とマッチしていることもあって、 多くの図書館が利用者にインターネットで情報を提供する際に採用している方法 である。

 ところでGopherはclient-server方式のプロトコルによるものであるから、本 来は利用する側のホストでGopher clientソフトを起動しなければ使えないはず であるが、提供機関によってはGopher serverばかりでなくGopher clientも提供 してくれているので、telnetでそのホストに接続すれば利用可能である。このよ うにして、多くの図書館のGopherを体験した。先のOPACのメニューの多様さがこ ちらでは一層ましており、その図書館や大学が用意する情報ばかりでなく、他の 図書館、大学、情報提供機関の情報源にリンクしているありさまが見て取れた。 多くの図書館Gopherがリンクしている人気のある情報源も分かった。これによっ て、米国の図書館がインターネットを使ってやろうとしているものの表面的な全 体像をつかむことができたのではないかと思う。

(3)とくにLCのMARVEL(図1)

 LC(米国連邦議会図書館)は世界最大級の図書館であるが、ここが提供するGopher server であるMARVELに触れたとき、なるほどこれなら電子図書館と呼んでもいいのでは ないか感じたほどである(注2)。メニューは第一段階は12程度の項目からな るが、深いところはたぶん10階層ほどになり、提供している情報の項目数(リ ンクも含め)は数千に上るものと思われる。利用できるものの中には、LCが提 供しているインターネット上のOPACであるLOCISとか連邦政府の膨大な電子情報 のコレクションといったものから、LCの利用の仕方や開館日、館内で開かれる 各種イベント、果てはLC周辺のホテルの案内(LCには世界中から研究者が集 まるが周辺の安ホテルに長期滞在して資料の利用をする人も少なくない)まで地 図入りで提供されている。

 しかし、MARVELの興味深いところは、第一段階のメニューでは10番目と11 番目にあたる項目が膨大な外部の情報源にリンクしているところである。10はGlobal Electronic Libraryという名称で人文・社会・自然・応用科学のすべての分野に わたって主題ごとに分類されている。11 のInternet Resourcesは提供される(Archie からはじまってWWWまでの)情報のタイプで分類されている。各分類項目は多数 の情報源につながっているので、これをひととおり使うだけでどんな情報がイン ターネット上で利用できるのかおおよその検討をつけることができるはずである 。

 筆者はMARVELを出発点にして、多くの情報源の存在を知った。MARVELこそglobal なvirtual libraryのコレクションが分類されて配置されている書架であり、そ こをブラウジングしているだけで時間を忘れて情報と知識の世界をさまようこと ができるのである。

 なお、LCは最近WWWサーバを提供し始めている。いずれはMARVELの機能はこ ちらに吸収されていくのであろう。

(4)メーリングリストPACS-L

 Public-Access Computer Systems Forum(PACS-L)は先に触れたようにリストサ ーブによるメールの同報送信のシステムであるが、public access という用語が 示すように図書館員を中心とした人々によるディジタル技術に関する議論の場と なっている。現在、66カ国8630名の購読者がいるそうである。(注3)

 ここを通じて送られてくるメールは、どこそこでWWWのサーバを立ち上げたか ら見てほしいとか(もっともWWWの図書館での利用についてはweb4libという名の リストサーブのグループが別にある)、オンラインの雑誌記事索引の相互比較の レポートだとか、ペーパーレス社会の行く末だとか、雑多な議論と情報提供が行 われており、ざっと話題を追っているだけでもとても楽しいものである。 しか しPACS-Lの特徴はさらに電子メールを利用した実験的情報提供サービスにある。 入会を申し込むと自動的にPublic-Access Coomputer Systems ReviewとPublic-Access Coomputer Systems Newsという名の2つの電子雑誌がメールとして送られてくる 。前者はやや長めのレポートや論文が掲載される評論誌であり、後者はこの分野 のニュースが掲載されるニューズレターであり、いずれも有用である。この2誌 以外にも定期的に雑誌形式のメールをPACS-Lで提供している例はいくつかあって 、この分野の最新雑誌記事の抄録誌であるCurrent Cites(UC Berkekey Library) や連邦政府の情報政策のニュースを掲載するFIN(Federal Information News Syndicate) などが配布されている。

(5)Project Gutenberg

 イリノイ・ベネディクティン・カレッジのMichael Hart氏を中心に1971年 から行っているという、ボランタリーベースでパブリックドメインのテキストを 提供するプロジェクトである。提供の方法は、anonymous FTP によってファイル 単位にまとめられた文学、思想、米国大統領の演説集等の作品を転送することに よって行う。リストサーブによってニューズレターが発行されており、毎月数点 新しく利用可能になる作品の案内がなされる。PACS-Lでも定期的にHart氏の案内 が送られている。1994年11月現在で訳170点ほどの作品が転送可能にな っている(注4)。

 数としては多いとはいえないが、パブリックドメインのテキストをインターネ ット上で公開するのにいろいろなところから寄付金をもらい入力や校正などはボ ランティアで行うといったところが従来の商品としての出版物を一歩抜け出てい て興味深い。

 名称は言うまでもなく、近代の印刷術が手書きのものから大量の印刷本をつく ることで近代を準備するのに大きな力をもったという歴史的事実を踏まえて、新 しい電子テキスト配布のもつ意義を探るところからきているのであろう。しかし ながら、たとえば書誌学的な考証(つまりどのような版が底本になっているのか )はどのようになっているのか、著作権フリーのものを収集する意義がどのよう なところにあるのかといった疑問が生まれてくる。そこらへんも含めて電子テキ ストのコレクションとしてのdigital libraryを占う興味深いプロジェクトであ ることは確かである。

(6)BUBL(図2)

 これはイギリスでつくられている図書館員向けの情報提供システムである。多 様な情報源にリンクされているという点で、アメリカでLCのMARVELが果たして いる役割に近いものがある。もともとGopherで提供していたものであり、telnet でも接続できるようになっていた。最近のWWWの普及により、WWWサーバも提供し ている(注5)。

 イギリスの大学図書館関係者が協力してつくっているということのようであり 、とくに中心になっているのが、ストラスクライド大学、グラスゴー大学、バス 大学の図書館である。BLRD以外はLA、OCLC Europeなど民間の基金によっ て運営している。

 無数にある情報源のなかで図書館での仕事に役立ちそうなものを選択し、適切 なリンクをはっているところはMARVELや一般の図書館で提供しているGopher/WWW のサーバと似ているが、ここの特徴は図書館員に対する教育的配慮が行き届いて いるところである。多くの図書館員にとってネットワーク環境というのは新しい 経験であり、とまどうことが多い。そこで、BUBLはネットワークの理解に必要な 知識を段階的にメニュー形式で提供し、利用者はBUBLをサンプルとしていろいろ の情報源にアクセスしながらネットワークのことを学んでいけるというわけであ る。他のものに比べて、メニューの構造や配列に工夫が見られるとともに、初心 者向けの解説文がところどころに織り込まれておりわかりやすい。ネットワーク を利用するためのソフトウェアも多数提供されている。

4 MacintoshによるIP接続

 今年の春にアメリカの図書館を見る機会があった。アメリカ図書館協会公共図 書館部会(PLA)の大会に参加することが目的であったが、同時にいくつかの 公共図書館と大学図書館、そして大学での図書館員養成学部を訪問した。この旅 でアメリカでは今インターネットがきわめてホットな話題であることが実感でき た。

 PLA大会の中でもっとも熱を込めて議論されていたのはネットワーク上で図 書館は何をするかということであった。その関係のセッションがかなりの数に上 っていた。大会の売店でダイアルアップ接続による図書館員のためのインターネ ット入門の本(注6)を買った。それまでインターネットを利用するには専用回 線で相互接続されたLANにつなぐほかないので比較的規模の大きな機関以外で は利用できないと考えていたが、公衆回線での利用によって小規模のところでも 個人でも容易にアクセスできることをはじめて知った。

 概ね大学図書館ではインターネットによる情報提供は当たり前のものになって いたが、公共図書館では一部の先進的なところを除くとこれからの課題という感 じであった。ミシガン大学の図書館情報学部を訪れると学生が熱心にWWWのホー ムページづくりの課題に取り組んでいた。大学での図書館情報学部の閉鎖や他学 部との統合が伝えられているなかで、ネットワークに対応することで生き残りを はかろうとしているように見えた。

 帰国してから、本格的にインターネットの可能性を見きわめてみようと考えた 。そのためには、ミシガン大学で学生たちがいとも簡単にいじっていた情報提供 の道具であるMosaicとそのもとになっているWWWとは何かをみておく必要がある と思い、研究室のパソコンを学内LANにIP接続することにした。幸い研究室 にあったマッキントッシュ(Centris650)ならすでにイーサネットのカードが入 っているので、あとは最近各研究室に入ったばかりの情報コンセントにすぐ接続 できるのかと思うとこれがそうはいかず、10BASE-T用のトランシーバというのを 購入しなければならなかった。

 マッキントッシュをインターネットに接続するためには、ハード的につながる だけではだめで、マックにTCP/IPをしゃべらせるためのMacTCPというソフトが必 要である。これはアップル社の製品ということであるが、アメリカに行ったとき に購入したInternet Starter Kit for Macintosh(注7)という本に付属のフロ ッピーディスクにおさめられていたのでそれを使用した。このディスクには、他 にEudora, Fetch, Turbo Gopher, NCSA telnetといったソフトが入っていたので これらも使えるのであるが、日本語を通す必要のある場合には使えないものが多 い。そこで、FTPの機能を使いやすくしたFetchで、いくつかの国内のanonymous FTP サイトから日本語対応したソフトを転送して使うことにした。こうして、Eudora-J (電子メール), NewsAgent(ネットニューズ), Turobo Gopher-J, NCSA telnet-J, MacWais(Wais), Anarchie(Archie), Mosaic for Macintosh(WWW 用クライアント), MacWeb(同左)といったソフトを入手して使用することにな った。約1年間使用したワークステーション+PC98という組み合わせのシス テムとは別れを告げた。新しく作り上げたネットワーク環境ははるかに多機能で 格段に使いやすいものとなった。

 これらのソフトはフリーウェアやシェアウェアであるか、そうでなくとも学術 研究の環境で使用する場合には無料で利用できるとされているものである。きわ めて高度な機能をもったソフトウェアがこうした形で利用できるというのは驚き であった(注8)。インターネットという場が研究者間のボランタリーな貢献に よって成り立ってきていることがよくわかった。これらのソフトウェアの開発者 ならびに日本語への対応という作業を行ってくれた方々そして、anonymous FTP サイトを運営している方々に心から御礼申し上げたい。

 新しく導入した機能のなかで最も重要なのはやはりMosaicである。これは、ハ イパーテキストでマルチメディア情報の提供を可能にしたWWWのビューワーソフ トということであるが、これひとつでほかにもGopher, FTP, telnet, 電子メー ルなどが処理可能な統合環境を提供するという点で意味がある。Mosaicは重いと いうことで、現在ではMacWebやMosaic NetScapeといった類似のソフトが開発さ れている。

 Mosaicを使ってみてGUIによるハイパーテキストの見やすさ使いやすさ、音声 や動画まで見られるマルチメディア環境の今後の可能性にインターネットが新し い段階に入りつつあることを感じた。とくにMosaicのマルチメディア的な要素は 情報スーパーハイウェイ構想の中心にあるマルチメディア技術の商用化がどんな 方向をめざしているのかを示唆するものである。また、Waisという全文データベ ースやarchieというファイル名検索などのツールもdigital libraryの構成要素 として欠くことのできないものとなると感じた。

 しかしながら、これらの新しく導入した機能は以前の不便なインターネット利 用環境で筆者が体験したほどの興奮を与えてはくれなかった。それはなぜかを考 えることは「digital libraryは図書館か」という本稿のそもそものテーマに答 えることにもなるであろう。次に、インターネットとdigital libraryと図書館 、以上三者の関係について筆者の考えを述べておきたい。

5 図書館とは何であったか

 図書館を考えるにはいろいろな視点がある。もっとも単純には(1)図書をはじ めとする資料のコレクションが図書館であるという考え方。歴史的に考えれば王 室や貴族、学者の個人的なコレクションが図書館になった例は多いからこれが重 要な要素であることは間違いない。しかし、単なる資料の集合が私蔵書ではなく 図書館といえるためには、(2)それが何らかの意味で公開されている、という条 件が必要であろう。大宅壮一の雑誌の個人コレクションも財団法人が運営する公 開された施設となってはじめて雑誌の専門図書館となる。さらに、上記の条件な ら博物館や文書館も含まれてしまうが、それらと違うのは(3)図書館は複製され た情報の提供を主とするという条件が加わる。図書館にある資料は、博物館にお かれた"もの"でもなければ文書館にある一点一点がユニークな情報(文書)でも なく、なんらかのオリジナリティをもった情報が複製されその多数のコピーのひ とつが集められているのである。(注9)

 図書館が成り立つためにはこのように最低、複製された情報である資料が蓄積 されたコレクションであり、それが公開されているという条件が必要である。こ こではたとえば、図書館にも歴史文書や博物館資料的な稀覯書が収集されている ではないかとか、コレクションならそれがどのような方針で集められるのかとか 、一度できたコレクションはその後更新されていくのかそのままなのか、公開さ れているといってもそれがあらゆる人に開かれているのか、利用料金を課すこと で利用は制限されるのはないか、といった問題が生じてくる。これらは重要な問 題ではあるが、さしあたって図書館そのものの本質に関わるものではない。

 世の中には比喩的に図書館(library)という言葉が使われる場合がある。た とえば、視聴覚ライブラリーとかおもちゃライブラリーという表現はそれぞれの もののコレクションを一般的に公開して提供している機能からきている。前者は 図書館の一種といってもよいかもしれないが、後者の玩具(とくに知的障害児の ための教育玩具)が複製された情報であるというのはやや苦しい。もっともマル チメディアの一種と言えないことはないだろう。

 また、コンピュータ科学の用語でライブラリというのがあるが、これはいろい ろなプログラムで使うルーチンをファイル化し、プログラミングの際に参照して 組み込めるようにしたものである。これなどは、図書館の本質的な概念をよくと らえたネーミングであると思われる。つまり、プログラミング環境のなかでは(1) 共通して利用できるようにした(2)ひとまとまりのプログラムルーチンのことで あり、(1)は公開、(2)はコレクションの比喩であり、いうまでもなくこれは複製 された情報でもあるので図書館の諸要素を持ち合わせているというわけである。

 これ以降、図書館をこれら3要素がそろったもの、すなわち複製情報の集合体 (コレクション)を公開するしくみととらえることにしよう。筆者は図書館を考 えるときにほぼそのような存在としてとらえてきた。だから、たとえば新聞やテ レビなどのマスメディアはコレクションではないから図書館ではないし(もちろ ん新聞そのものやテレビ番組を録画したテープは図書館資料になる)、書店も資 料の集積が主たる業務ではないから図書館とはいえない。図書館はあくまでも情 報の蓄積とその公開・提供を行う機関である。ただこれは図書館を考えるときの 最大公約数的条件である。この定義を用いると、たとえば商用のオンラインデー タベースサービスなどにも図書館と呼べるものがあるということになる。

 歴史的にみると、図書館は本質的な2つの変化を経験している。ひとつは、資 料のマルチメディア化が進行していることである。かつての主たる情報の複製方 法は印刷術であった。これで複製できる情報は文字による書き言葉や絵や図など のグラフィカルなものに限定されていた。したがって図書館とは、印刷文字(テ キスト)を中心とした図書を集めるところであった。それが、記録・複製技術の 進展にともない、写真、映画・ビデオ、録音物およびそれらの組み合わせが資料 として収集可能になっていく。そして、今のマルチメディア技術・ディジタル技 術がそれらをdigital libraryに変化させるところまで発展してきているのであ る。

 だが、ここでひとつ強調しておきたいのは、人間コミュニケーションの中核に 言語があり、近代社会が読み書きを重要な社会的技術とみなして以来、図書館資 料の中心に文字資料がおかれてきたのは必然的なことであり、その図式はマルチ メディアが利用可能になっても大きく変化することはなさそうだということであ る。筆者がマルチメディアにたいしてやや警戒的であるのはそのようなことがあ る。

 もうひとつは、図書館が資料の保存施設から資料の提供施設に少しずつ変化し てきたことである。資料の収集とコレクションの保持に重点が置かれていた時代 から、蓄積されている資料の即時の提供に重点が置かれる時代へと移行してきた のである。これは新しい適切な情報の価値が重要視される時代(情報社会とか呼 ばれるもの)の到来とも関わっている。したがって、図書館において即時の情報 提供を行う情報機関としての機能が強調され、それに応じていかに利用者のニー ズにあった最新の資料を収集するか、そしてそれらについていかに適切な資料組 織(分類や目録作製)を行うかなどが強調されてきたのは、この時代的要請に基 づくものである。

6 図書館、インターネット、digital library

 コンピュータ通信技術は図書館の資料提供機能を高めてきた。バックランドは 図書館の技術的環境の変化にあわせて、図書館は紙メディア図書館(paper library) 、機械化図書館(mechanized library)、電子図書館(electronic library)へ と進化するという図式を示している。(注10)このうち紙メディア図書館は資料 が主として紙に印刷したもの(マイクロ資料なども含む)からなり、その館内処 理をマニュアルで行う段階であり、機械化図書館は資料の多くは紙メディアであ るがその処理はコンピュータ技術による段階である。そして、電子図書館とは資 料そのものが電子情報となりコンピュータネットワーク技術によってそれが提供 される段階である。電子図書館は紙という物理的要素から解き放たれるので、コ レクションの形態が大きく変わる可能性をもっていることが強調されている。彼 の電子図書館のイメージは電子テキストが蓄積されたコンピュータがネットワー クで相互接続され、どこにいても他のコンピュータを呼び出してテキストが利用 可能にするようなものとして描かれている。これは、インターネットにおけるGopher やWWWサーバによってかなり現実的なものになっている。

 最近でた長尾真著『電子図書館』は具体的な電子図書館のイメージを提出して いる。(注11)すなわち、フルテキストの図書を多数蓄積し、図書の構造を生か した検索方法を工夫する。この図書館をネットワークを通じて利用する側のコン ピュータにはテキストを読むためのツール(マルチウィンドウやメモ、アンダー ライン、しおり、辞書引きなどの機能)と補助ツール(読み上げ、自動翻訳など )が備えられる。

 これら2つの電子図書館の構想の共通点はテキスト(文字情報)中心の電子情 報を想定していることである。後者にはマルチメディア的な要素もあるがあくま でも電子化された図書の集積あるいはそのネットワークを構想している点で、従 来の図書館のイメージに近い。

 それに対してdigital libraryというときにはいっそう伝統的な図書館から離 れ、そこで扱うのも電子化された図書というよりは、電子情報、デジタル情報そ のものということになる。たとえば杉本重雄氏は第一回ワークショップにおいて アメリカのdigital libraryに関する研究動向をまとめている。そこで紹介され ているdigital libraryの定義のひとつは「従来の図書館が上やその他の媒体を 使って提供してきた、収集、目録作成、情報の発見と流通というサービスを再現 、模擬、拡張するために必要な内容及びソフトウェアを、計算、データ蓄積、通 信のための機械装置とともに適切に組み上げたものである」(注12)というもの であり、また、その研究領域として、たとえば、データ入力、情報のカテゴリー 化・組織化、検索モデル、文書の構造、情報のディスプレー技術、ネットワーク 技術、分散的データベースの利用技術など多様なデジタル情報の処理技術が挙げ られている。digital libraryはこうした技術を統合する包括的概念として用い られており、従来の図書館概念の延長にあってもその関係はあまり明確ではない 。とくにマルチメディア技術が大いに注目される中で、扱われる情報がてきすと よりもイメージ、音声、動画およびこれらの組み合わせというところにシフトし ているところが特徴である。

 あえてこのようなdigital libraryがめざすものと伝統的な図書館学あるいは 図書館情報学との関係を問えば、たとえばPaul Otletのdocumentation、H. G. Wells のWorld Brain 、Watson DavisのUniversal Brain、 Vannevar Bushのmemex といった未来の図書館、未来の知識情報システムの構想(あるいはOtletとDavis の例ではプロトタイプ的な実践)がこれらの研究領域の原型になっているという ことができる(注12)。現在しばしば、BushのmemexがTed NelsonのXanaduを 経てハイパーテキストあるいはその発展的形態としてのWWWへと発展していった ことが指摘される。(注13)しかしながら、知識や情報を収集し、蓄積し、それ を利用するという考え方は古代から存在し、先に挙げたものはそのなかでも比較 的最近になって生じたものである。現在開発中のデジタル情報ネットワーク技術 がようやくそれらの構想を実現可能なものに変えていったということである。

  図書館−−インターネット−−digital libraryの関係を現在の段階で整理 してみると次のようになるだろう。

制度としての図書館
↑ 資料収集/整理/保存/提供/レファレンスサービス
|
|(媒介)インターネット上の情報提供サーバの集合体
|       ネットワーク情報資源の提供
↓
技術的可能性としてのdigital library
  電子情報の集積とネットワークによるアクセス

 図書館とdigital libraryの研究のあいだにはまだかなりのギャップが存在し ている。確かに、筆者が先に掲げた公開された複製情報のコレクションという図 書館の特性はdigital libraryにおいても満たしているように見える。しかしな がら、情報の蓄積と提供(ストック)vs情報の即時的配布(フロー)、あるいは テキスト中心vsマルチメディア志向という点で従来の図書館とdigital library とでは重点のおきどころが異なるように見える。アメリカで先のような多様な技 術をdigital libraryという名称で一括できるのは、すでに現行の形態の図書館 が社会的なテキスト情報のストックの制度して確立していることを前提にして、 図書館関係者のあいだにも次の(フローとマルチメディアという)技術的可能性 を追求することにある程度の合意があるからであろう。この点でわが国の図書館 関係者のあいだにどの程度の合意が得られるか疑問である。

7 電子情報をどう考えるか

 ここで、コンピュータファイルとして蓄積され、ネットワークを通じてどこか らでもアクセスしうる電子的な情報が従来の図書館で扱ってきた「資料」とどの ように重なりどのように異なるのかを見ておきたい。図書館とdigital library の相違はつきつめれば、扱う情報とその扱い方の相違に還元されるからである。

 再びバックランドの議論を見ておこう。彼は、紙メディアと電子文献(ここで は電子情報と同じと考えてよいであろう)を比較し、それぞれメリットとデメリ ットがあることを指摘している。そのうち電子文献のメリットが現れる領域とし て次のものを挙げている。(注14)

1 一過性の情報(例:航空時刻表、株価や為替レート)
2 加工する必要のある情報(例:統計データ)
3 検索して利用する情報(辞書、コンコーダンス)
4 遠隔地にある資料の簡単な利用
5 迅速なコミュニケーションの道具

1は毎日変わるどころか秒刻みで変化する情報でその寿命は短く多くは印刷する までもない。2はコンピュータに読み込んで再利用するため、機械可読のかたち で提供されている必要があるものである。3は通覧するのではなく検索して一部 だけを参照利用するためのものである。4はネットワークを通じて必要な情報を ざっと読むような利用法である。抄録を読んであらためて原報を取り寄せたりす る場合も含められる。5は電子メールに典型的な文書の即時的な配送機能のこと であるが、FTPなどでのファイル転送も含まれる。これらは、バックランド自身 がいうように「初めから終わりまで熟読する読書」に該当しないものばかりであ る。これは読書のための資料は紙メディアが優れているということを前提にした 議論である。

 論者によっては、小説などを除いて現在図書として出版されているものの多く は将来的に電子情報に変わっていくと予想する人もいるが、筆者はバックランド と同様に上記の電子文献以外の紙メディア出版物の多くは基本的に今のまま残っ ていくと考える。その根拠を論ずる余裕はないが、主として(1)図書は印刷術 以前から始まり過去千年以上年をかけて完成されてきたメディアで、比類ないほ ど単純でありながらなおかつその情報提示能力はきわめてすぐれている、(2) 過去数百年(わが国の場合は百年程度か)かけて徐々に制度化した出版およびそ の流通、そして図書館の制度が短期間の内に大きく変化することはできない、( 3)図書は情報提供以外にも審美的社会的機能(たとえば美術品としての図書、 情報選別の機能)をもちそれらは情報ネットワークでは代替できない、という3 つの理由に基づく。すなわち図書は人類が作り上げたかなり基層的な文化的発明 に属するものでそれ故短期に大きく変わることはないということである。少なく とも数年から十年程度のタイムスパンにおいては、電子情報は現行の出版−流通 −図書館の制度では提供できないような部分を補っていくという存在であろう。

 従来の図書館サービスからみると電子情報が生かされる場というのは、まず3 のデータベース的な利用である。すでに商用オンラインデータベースやCD−R OMが使用されているが、さらにインターネット上のデータベースの利用が重要 になる。また、4の遠隔地の情報をブラウジングするようなサービスはGopherやWWW で提供することになる。1や2、5は図書館が発信源になるには独自の情報源を どれだけ提供できるかということが問題になるだろう。他の機関が提供している その種の情報をリンクするというのが中心になるかもしれない。

 これまで、わが国の図書館では基本的に図書と雑誌、それに視聴覚資料という のコレクションの中心であり、それ以外の資料はなかなか提供されなかった。し かしながら政府刊行物などの例に見られるように、市販されないもののなかに情 報価値がきわめて高いものが多数存在する。これら灰色文献(grey literature )と呼ばれるものの重要性は近年広く知られるようになっている。そういうなか で、インターネットの普及はこれらの情報を提供する可能性を以前よりずいぶん 高めうると考えられる。

 アメリカではすでに、主要な官庁、大学、企業、各種団体がそれぞれ自らのGopher ないしWWWのサーバーを立ち上げ、自機関の自己情報を提供するという方向に動 き始めている。もちろん、その動機はいろいろであるが、一般的にいえば広義のPublic Relations の手段ととらえられるものである。そこで提供される情報もまた様々である。マ ルチメディアを駆使して企業イメージを売り込むようなものも多いが、とくに官 庁、大学、団体などで試みられているのは灰色文献のインターネットによる提供 である。ニューズレターや種々の報告書などがネットワークを通じ入手できるよ うになる。また、何らかの会議が開かれるとその主催者がサーバーを立ち上げ、 ネットワークで会議の案内から予稿集、会議録までを提供するというのもかなり 実施されている(本ワークショップがその例である)。このように従来流通が不 十分だった灰色文献がインターネット上で入手できるようになるということはき わめて重要な進展である。

 灰色文献だけでなく、電子メールやネットニューズで配布されるものなどもど ちらかというと一過性の情報と考えられるものである。図書館での提供(および 何らかの整理・加工による再配布も含めて)は以前に比べて容易になっていると 思われる。こうして、図書館が資料の保存から、資料の提供へ、そして一過性の 情報の提供へというプロセスが進行することは避けがたいことになるといえよう 。

 わが国の図書館は商品としての資料や情報(市販図書、市販雑誌、商用データ ベース)への対応に追われてそれ以外のものになかなか目を向けることができな かった。もちろん、紀要の交換といった例はあるのだが、それは資料のごく一部 を構成するにすぎなかった。これは図書館に限らずわが国の社会においては情報 というものが商品として流通するかアンダーグラウンドで流通する以外、相互に 自由に交換される公的な場を欠いていたからである。つまり、マスコミュニケー ションはあっても誰でもが情報を自由に発信しまた入手できる公共的な情報交換 の場が成立していなかったからである。昨今、商用のものではあるがパソコン通 信のそうしたフォーラム的役割が注目されるようになり、またインターネットが らみの議論のなかで、中央官庁でもインターネット上に政府情報の一部を提供し ていくという動きを見せ始めている。

 インターネットの商用サービスが始まっている。しかし、インターネットがそ もそも学術的な利用からはじまり、いったん接続すれば基本的に利用が無料であ るという原則が存在していることはたいへんに意味のあることである。商業ベー スでないこのような情報へのフリーアクセスの場が今後いかに保証されうるかが 、わが国でのネットワーク文化を考える上で重要なぽいんとであろう。アメリカ のように、官庁、自治体、大学、企業、各種団体などが情報発信の手段としてイ ンターネットをとらえることが出てくることが期待される。そして、公共図書館 や大学図書館などの場がそれらにアクセスする重要なぽいんととなりうるかどう かが問題なのである。

8 図書館はインターネットとどう折り合いをつけていくか

 メディアには型のメディアとネットワーク型のメディアがあると言われる。パ ッケージ型は情報をパッケージに詰め込んで送り手が受け手の求めるものを提供 すればそれでおしまいというものであり、従来の図書館はこちらのメディアを提 供する存在であった(硬直したマスメディアもどちらかと言えばパッケージ型の メディアである)。ネットワーク型は送り手と受け手の相互作用によってなりた つメディアである。図書館界でも図書館そのもののネットワーク化が課題であり 、また、リクエスト、レファレンス、レフェラル、資料・情報の加工といったサ ービスはパッケージ型からネットワーク型サービスへの変化を示していると思わ れる。

 インターネットはその名の通り、ネットワーク型のメディア空間となっている 。ここに参加することによって、図書館はいっそうネットワーク化を進めること ができるようになる。そのために考えておかなければならないことを挙げておこ う。

(1)インターネットの普及度

 公共図書館でビデオ資料の貸出が課題になったのは、過半数の家庭にビデオの 再生装置が普及するようになってからである。新しいメディアを扱うときには、 利用者がそれを利用可能な条件が整っているかが問題になる。その意味で現在、 わが国でのインターネットの一般市民への普及度は限りなく0に近いところにあ る。わが国の通信コストの高さから短期間に普及度が急激に上昇するとは思われ ない。公共図書館の場合にはむしろキャプテンとかパソコン通信のほうがなじみ があるといえよう。そういうなかでは、やはり世界中に開かれ、技術的にもマル チメディアに対応しているといったすぐれた点をもつインターネットの重要性を 訴えてもなかなか理解されないかもしれない。大学図書館でも理工系の利用者は ネットワークに触れる機会が高いとしても、文系の利用者に対するサービスはこ れからの課題である。

(2)どのようなサービスが提供可能か

 当然のことながら、図書館が独立してあるいはLAN等を経由してインターネ ットの世界と接続されていることが必要である。小規模なところでは必要に応じ てのダイヤルアップ接続ということになるが、できることなら専用回線によるフ ル接続が望ましい。

 図書館がその来館者あるいはネットワークを通じての利用者に情報を提供する 方法としていろいろありうる。OPACだけならtelnetでログインできればよいかも しれない。電子メールでレファレンスサービスやリクエストを受けるというのも 考えられる。また、anonymous FTPでファイル単位で管理している電子文献を提 供するという図書館もある。しかし、GopherないしWWWを使用するのが一般的で あろうと思われる。これらが、FTPやtelnet,waisなども含んだ情報サービスの 統合環境を提供するインターネットへの窓のごときものだからである。Gopherが キャラクタベースのメニュー形式であるのに対し、WWWがGUIを使用したマルチメ ディア対応である点が異なっている。

 北米の有力大学図書館の集まりであるARL(Asssociation of Research Libraries) 加盟の105館中Gopherを提供しているのが69館、WWWを提供しているのが36館 となっている(注15)。すでにLCがGopherサーバーMARVEL以外にWWWのサーバー を立ち上げていることは述べた。WWWの方のメニューにはLCが進めている電子 図書館のプロジェクトであるAmerican Memmory ProjectとLCが主催する展示会 のマルチメディア版であるEXPO(実際には、http://sunsite.unc.edu/expoで提 供)以外は、MARVELと共通の項目が使われている。WWWのクライアントがGopher にも対応していることもあり、現在全体的に見ると、GopherからWWWへの移行期 にあるように思われる。後発の技術が先発の技術を包含していくのであろう。

 このサービスはインターネット上の他機関の情報資源の利用というレベルとイ ンターネット上への情報の提供というレベルに分けられるが、両者は統合して利 用するのが一般的である。

 インターネット上の外部情報資源の利用には、たとえば、レファレンスサービ スにおける利用とか、館内に端末をおいて利用者に自由に使ってもらうといった 利用が存在している。いずれにしても、出版物として多数のディレクトリやイエ ローページ的な情報資源のガイドブックがあるし、ネットワーク上でのWWWやGopher による案内が行われているが、情報資源そのものが流動的で不安定であり、よく 言われるように膨大な情報のなかでしばしば迷いそうになるという問題があり、 図書館員はこの海におけるすぐれたナビゲータになれるよう自己訓練が必要であ るだろう。

 自館の情報発信の手段としてのインターネット利用はまずOPACの公開から出発 するはずである。まだわが国ではその実践は一部の大学図書館で行われているに すぎず、ノウハウの蓄積はこれからであろう。ただ、OPACが存在していればこれ を外部に提供するのはそれほど難しいことではないものと思われる。

 OPAC以外に何を提供しうるか、これが実は大きな問題である。図書館自体に関 する情報たとえば、利用案内、利用規則、最新のニューズレターなど、図書館が 独自に作製するデータベース、外部の機関が作成したデータベース、図書館利用 教育のコースウェアといったものが実際に提供されている。これらはいずれも、 自館で作成するか、外部から購入(契約)するかしなければならない。多くの図 書館では内部で作成したものはすべての人に公開するが、外部から導入したもの は契約の関係でアカウントをもった利用者(公共図書館なら貸出登録をした人) にのみ利用を限定するのがふつうである。ここのメニューに何を用意するかが大 きなポイントとなるだろう。

 もうひとつ、このメニューには外部の情報資源へのリンクが張られることにな るが、それに何を選ぶかも腕の見せ所ということになる。英米の例を見ると、先 に紹介したような膨大な情報源へのリンクを張っているさいとであるMARVELやBUBL をメニューに含めているところは少なくない。

 わが国で図書館サービスの中にインターネットを取り入れることが現実的に考 えにくいのは、インターネット上に、まだまだ図書館の情報サービスとして役に 立ちそうな情報源そのものが決定的に不足しているという問題がある。これは多 様な情報が生産されているにもかかわらず市販図書と雑誌・新聞など以外情報資 源と見なされることがないままに今に至っているからである。灰色文献の問題は すでに述べたが、データベース振興などでも同様である。データベースづくりは 国の基本的な政策にもなっており、官公庁、地方自治体、第三せくたーの機関な どで多くの公的なデータベースがつくられているが、それらはあまりにもばらば らで、誰もがアクセス可能な図書館情報資源と見なされることはあまりなかった( 注16)。これらのデータベースもまたインターネット上で利用できるものになれ ば、図書館からリンクをはることによって重要な情報資源となるのである。

 また、図書館で使用できる種々の二次資料についてもかなり限られたものしか 存在していなかった。研究者が個人で作成したり、学会が作成したり、図書館が 自館ツールとして作成したりしているものはかなりの数にのぼるが、出版したり 、データベースとして公開したりするほどのマーケットが存在しなかったことが 最大の原因であろう。しかしながらインターネットはこれらデータベースの公開 にはきわめて有利な情報環境である。インターネットのよさは、比較的容易にま た気軽に各種情報をネットワークに提供できるところにある。CARLのUnCoverの ようにインターネットを基盤にして発達した雑誌記事の索引抄録データベースの ようなものがわが国でも期待される。とくにインターネットへの対応が図書館に とって従来のような情報受信型のサービスに情報発信型のサービスの要素を加え ていくための大きな転換となるような方向付けが望まれる。

(3)ドキュメントデリバリー

 電子的に蓄積された電子文献のデリバリーはすでに述べたように電子メール、 FTP、Gopher、WWWなどで実施できる。いまインターネットで提供されているのは、 著作権上の問題がないものである。それに対してOPACで検索して所在が突きとめ られた紙メディアの文献をインターネットで効率よく提供することも可能になっ ている。アメリカのRLG(Research Libraries Group)ではイメージスキャナーと パソコンとレーザープリンタを組み合わせて、インターネットを通じて文献のペ ージごとのイメージを送るArielというプロジェクトが実施されている。ファク シミリより通信費が安くすむということである。(注17)

 日本でこのようなサービスを実施するためには著作権法上の問題をクリアしな ければならないであろう。これが従来の「相互貸借」の枠内で行われるかどうか は予断をゆるさない。わが国の著作権法上、ファクシミリによる著作物の送信は 有線送信にあたり図書館における複写の範囲外という解釈が一般的であるそうだ が、そうだとするとインターネット上でも同様ということになる。 (注18)

(4)書誌コントロールと保存の問題

 ネットワーク情報資源が不安定であるというのは、その所在がはっきりしなか ったり、ネットワークそのものの不調、ハードウェアの不調などいろいろな理由 に基づくが、情報資源自体が一過性のものが多いこともあって、いつその提供が 終了するかもしれないという問題をかかえている。分散管理のインターネットに おいては、文献の書誌コントロールにあたるものが必要であるし、資料の蓄積が あってはじめて提供もあるとしている図書館は、情報保存の問題に無関心でいら れない。書誌コントロールとは文献を共通の規則に基づいて記述することによっ て、文献についての基本的情報(二次情報)をつくることである。

 図書館が情報・資料の集積であるとすれば、この問題はdigital libraryの本 質に関わる問題となるかもしれない。従来の出版物については多くの国ですでに 法定納本制度(注19)が整備され、少なくとも国の機関による網羅的収集と全国書 誌への収録そして保存が実施されている。そうした制度によって少なくとも出版 物の所在が確認できるのである。だが、インターネット上の情報資源すべてにつ いてこのような把握や保存が可能であるとは思われない。極端に言えば、すべて の人がネットワーク上で情報発信が可能であり、それらすべてについて対応する ことはありえないからである。ここに、図書館(あるいはdigital library)が 何らかの基準を設けて書誌コントロールを行ったり、保存をしたりする必要性が 生じてくる。これまで、出版物の受け入れということで、なかば出版流通におけ る選別機能にゆだねてきた部分をネットワーク時代には図書館は引き受け、情報 選択の機能を重視していかなければならない。

(5)ネットワーク図書館員の養成と研修

 ということで、ネットワーク時代の図書館員の役割は基本的にこれまでの仕事 の延長上にあるが、さまざまな新しい要素に対応していくことになる。

 アメリカの大学図書館ではすでにnetworking librarianとかnetwork specialist とか呼ばれる専門家がいるところが少なくない。そうした人たちはネットワーク のハードソフト面の導入と保守を行い、また、サーバーによる情報提供を担当し ている。それらの人たちは図書館機械化の担当と兼務であるいはそこから回って いった例が多いが、パソコンやワークステーションで運用できることなので個人 的な学習や趣味で担当するようになった例もある。

 しかしすでに大学における図書館員養成の学部ではそうしたものへの対応がか なり進んでいる。今後はこの方面の人材まーけっとの需要が多いことは確実だか らである。近い将来、図書館にかぎらずあらゆる機関がネットワークへの対応を 迫られるようになることが予想されている。それはわが国でも同様であろう。

 教育的配慮という意味で、先に紹介したMARVELやBUBLのようなすぐれた図書館 情報サーバーの実例がわが国でもほしい。もちろん、国立ガンセンターのGopher サーバーやNTTのWWWサーバーのように多くの情報をもった模範的なサーバーはあ るが、あれらは必ずしも図書館的な視点から見てモデルにはしにくいし、ネット ワークについての学習的な要素はあまりない。たとえば、主題分類にしたがった 情報提供が必要だし、インターネットの利用法についての情報提供がもっとあっ てよい。このワークショップで考えるべきことかもしれない。

9 おわりに

 本稿では、現行の図書館制度からインターネットにどのような対応をしていく かについて述べた。そこでは、マルチメディアに傾斜しすぎないスタンスで現行 の図書館の延長上にある情報サービスを考え、いくつかの提案をした。マルチメ ディアに大きな可能性があることは言うまでもない。しかしながら、図書館資料 があくまでも書き言葉=文字言語の伝達を中心にしてきたし、今後もその部分の 重要性が失われることはありえないと考える。マルチメディアを強調していくと 図書館は博物館やテーマパークと区別がつかなくなるだろう。メディアの変容期 においては既成の制度の壁はくずれていくのだからそのようなことにこだわる必 要がないという立場もあろうが、ここではあくまでも伝統的な図書館の存在を前 提にして考察した。したがって、ここでまで見てきたことは、技術的可能性とい う点ではもうすでに当たり前になっているものばかりである。図書館という技術 的分野であると同時に社会制度でもあるものを前に考えるときに、現実的になら ざるをえないのである。

謝辞

 現在のインターネット接続環境をつくるにあたって、東洋大学社会学部戸田慎 一氏、図書館情報大学阪口哲男氏、同藤田岳久氏のアドバイスや援助を受けた。 記して謝意を表したい。

1 O'Reilly & Associates,1992. 今年になって翻訳が出た(エド・クロル著, インターネットユーザーズガイド, インターナショナルトムソン・パブリッシン グ, 1994)が、原著の2nd editionが同じころ店頭に並んだ。もちろん、新版の 方がよい。

2 接続は次のようである。

telnet: marvel.loc.gov login: marvel
Gopher: marvel.loc.gov
WWW: http://lcweb.loc.gov/homepage/lchp.html

3 "Welcome to PACS-L" 1 Nov 1994 CST <PACS-L@UHUPVM1.UH.EDU>。なお購読 には、listserv@uhupvm1.uh.eduあてに、SUBSCRIBE PACS-L <firstname lastname> という電子メールを送ればよい。<firstname lastname>のところには自分の名前 を入れる。subject:は無視される。

4 Anonymous FTP: mrcnext.cso.uiuc.edu path: /pub/etext

5 接続は次のようである。

telnet: bubl.bath.ac.uk login: bubl
Gopher: bubl.bath.ac.uk port:7070
WWW: http://www.bubl.bath.ac.uk/BUBL/home.html

6 Mary E. Engle, Internet Connections : A Librarian's guide to Dial-up Access and Use, LITA, 1994.

7 By Adam C. Engst, Hayden Books, 1993.

8 最近わが国で創刊された雑誌『INTERNET Magazine』(インプレス)の創刊 号にもMacintosh用とMS Windows用に上記のキットと同じようなソフト一式が納 められており、ハードが整えばすぐにでもアクセスできるようになっている。

9 三浦逸雄・根本彰共著, コレクションの形成と管理, 雄山閣. 1993, p.26-30

10 Michael Buckland, Redesigning Library Services: A Manifesto, ALA, 1992.

 高山正也・桂啓壮訳,  図書館サービスの再構築, 勁草書房, 1994

11 長尾真著, 電子図書館, 岩波書店. 1994

12 杉本重雄, Digital Librariesへのアプローチ, デジタル図書館, No.1, Aug. 1994, p.14

13 Otletの構想についてはたくさんの文献があるが、彼自身の主要論文の英訳 であるPaul Otlet, International Organisation and Dissemination of knowledge: Selected Essays of Paul Otlet, Elsevier, 1990. がいい。ここに 上げた他の構想については、Manfred kochen(ed.), the Growth of Knowledge: Readings on Organization and Retrieval of Information, Wiley, 1967. に 収録されている。

14 Ted Nelson, Literary Machine, 1980. 竹内郁雄・斉藤康己監訳, リテラリ ーマシン, アスキー出版局, 1994

15 バックランド, 前掲書, p67-68

16 http://www.lib.washington.edu/‾tdowling/arl.html 参照

17 データベース振興センター編 データベース白書1994 同センター 1994

18  佐藤義則,インターネットの利用と大学図書館,情報の科学と技術,vol.44, No.1, 1994, p.31.

19 図書館サービスから見た著作権法,慶應義塾大学図書館・情報学科,1994,p.51.

20 わが国の場合は国立国会図書館法24条、24条の2、25条、25条の2に規定され ている。

参考文献(注にあげていないが、インターネットを理解する上で役に立ったもの をあげておきたい)

1 広田とし子, インターネット−−いま話題のネットワーク, 現代の図書館, Vol.31, No.2, 1993

2 三井幸子, インターネット環境下における目録・書誌・索引情報, 書誌索引 展望, Vol.17, No.4, 1993

3 特集インターネット, 情報の科学と技術, Vol.44, No.1, 1994

 戸田慎一, ネットワーク情報資源と図書館・情報サービスの将来
 吉村伸, インターネットの技術と今後の利用
 石田晴久, 国内インターネットの現状
 宮崎智, インターネットの公開情報サービスの使い方
 佐藤義則, インターネットの利用と大学図書館 - アメリカ・イギリスの図書館事情管見メモ
 広田とし子, インターネットの使い方 - 大学図書館における活用事例
 鈴木隆雄, インターネットに関する文献の紹介

4 有村光晴ほか著 UNIX-PC通信術--tty回線からのUNIX, ソフトバンク, 1992

5 宮地力著, Macintoshインターネット入門, アジソン・ウェスレイ, 1993

6 WIDE Project編, インターネット参加の手引き1994年版, 共立出版, 1994

7 知野明, インターネットフロンティア, エーアイ出版, 1994

8 Eric Braun, The Internet Directory, Fawcett Columbine, 1994.

9 Harley Hahn and Rich Stout, The Internet Yellow Pages, Osbone McGraw-Hill, 1994.